福島の農業を学ぶスタディツアー ~今が旬!ふくしまのねぎ~


 
平成29年2月4日(土)~5日(日)、福島県主催による「福島の農業を学ぶスタディツアー ~今が旬!ふくしまのねぎ~」を開催し、東京都内の大学生5名が1泊2日のツアーに参加しました。
このスタディツアーは、放射性物質検査施設の見学や、郡山市の伝統野菜である「阿久津曲がりねぎ」の収穫・出荷作業体験や調理体験、地元生産者との交流、ヨークベニマル横塚店での販売体験を通して、福島の農業について実感を持って学ぶことを目的として開催しました。
 
2日間のツアーの様子をご紹介します。
 
1)1日目のレポート
2)2日目のレポート
3)マルシェのレポートと学生からのレポート

1)1日目のレポート

2月4日(土)
東京を出発。新幹線の中で、オリエンテーションをしました。学生達は真剣な表情です。

約1時間半後、福島県郡山市に到着しました。最初に、JA福島さくら農産物直売所「旬の庭」久留米店を訪問し、直売所での放射性物質検査やこれまでの取組についてお話を伺いました。安全な農産物を販売するため、週に3回、現在でも生産者は出荷前の放射性物質検査を行っていることに、学生達はとても驚いていました。

次に、郡山市の伝統野菜である「阿久津曲がりねぎ」の産地を訪問しました。
福島県職員から県の取組の説明の後、「阿久津曲がりねぎ保存会」会長の橋本さんより、阿久津曲がりねぎについて、資料やDVDを見ながら説明を受けました。
 
  

講義の後は、フィールドワークへ。橋本さんに収穫の方法を教わり、学生達は曲がりねぎの収穫にチャレンジしました。橋本さんから、収穫作業のポイントを丁寧に教えてもらい、傷つけないようにねぎを掘り起こしていました。

思っていたよりねぎが柔らかかったそうで、苦労しながら抜いていきます。

抜きたてのねぎを食べてみると・・・

「甘いけど、辛~い!!」「辛さがやみつきになる~」と畑でねぎ談義。
生で食べると、思わず涙が出るほど辛い阿久津曲がりねぎなのでした。

その後、自分達で収穫したねぎを車に積み込み、明日の朝のねぎ洗い作業に備えました。

収穫体験の後は、橋本さんが土づくりの堆肥に使用しているという、近所のうねめ牛生産者の有限会社武田ファームを訪ねました。武田さんは地域農業を大切に考えていらっしゃり、橋本さんが行っているような循環型農業を次の世代につなげていきたいとお話しくださいました。武田さんのお話を聞いて、農業と環境問題に興味を持った学生もいました。

その後、橋本さんのご自宅に戻り、出荷作業をしました。出荷用の専用テープでねぎを束ねる作業です。強く巻きすぎず、ゆるくならないようにするのが難しいなどと、簡単なようで難しい作業だったようです。

ねぎの香りで目がしみるほど作業をして、1日目はここで終了。今日体験した量は一部ですが、橋本さんによると出荷の時期は毎日ねぎを収穫して、洗って、束ねる作業をするのだということ。夏の暑い時期の「やとい」の大変な作業もそうですが、暑い日も寒い日も雪がちらつく日も「おいしいいものを届けたい」というその強い思いで作業されているのだと強く感じました。

2日目:2月5日(日)

朝7時。昨日収穫したねぎを洗うため、共同洗い場に集合しました。昨日は一日中、寒い外での作業が多かったので疲れただろうと思っていましたが、どの学生も元気!明るい挨拶で2日目がスタートしました。
 
阿久津曲がりねぎは、柔らかいため、長ねぎの出荷に使用されているエアーで泥を吹き飛ばす方法が使えないそうです。そのため、収穫後に湧き水がためられているねぎ専用の洗い場で毎朝、前日に収穫したねぎを丁寧に洗っているそうです。橋本さんの奥さんとご子息の典彦さんに洗い方のコツを教えてもらい、きれいに洗っていきます。

 
きれいに洗ったあとは、大束にまとめます。学生達は次第に口数が少なくなり、真剣に手早く作業を進めます。最後はかなり手際よく洗ってまとめることができました。

洗い作業の後は、橋本さんの奥さんお手製のお味噌汁やつけもので朝食を食べました。冷えた体に温かい味噌汁が染み渡ります。この後は、「阿久津曲がりねぎ」を使った調理実習を保存会の婦人会の皆さんに習います。
 
「普段なかなか料理しない」という学生もいましたが、婦人会の方々の手ほどきで、楽しく料理をしていました。

 
 
屋外では、典彦さんが炭火で作る焼きねぎのコツを教えてくださいました。一本丸ごと豪快に焼いていきます。表面に焦げ目がついてきたらそろそろ食べ頃です。塩こしょうを適量ふりかけてそのまま口に。中はとろとろで思わず「甘い!」と声をあげるほどのおいしさ。昨日、畑で食べた生の曲がりねぎと同じものとは信じられません。その横では、橋本さんが曲がりねぎをたっぷり入れた豚汁を作ってくださいました。この地域で親しまれる具だくさんの豚汁。ねぎを焼きながら味見したり、前日に訪問したうねめ牛の肉を焼いたり、と昼食の準備を進めます。

 
昼食のメニューは、阿久津曲がりねぎの焼きねぎ、阿久津曲がりねぎたっぷり豚汁、阿久津曲がりねぎのかき揚げ、地元産コシヒカリのご飯、阿久津曲がりねぎのねぎ味噌、阿久津曲がりねぎの豚肉巻き、ほうれん草のあえもの、阿久津曲がりねぎのねぎ油は豆腐にかけて食べます。さらに、うねめ牛の焼き肉と婦人会の方のお手製のおつけものもありました。まさに、阿久津曲がりねぎと地元の食材づくしの豪華な昼食です。

阿久津曲がりねぎのかき揚げ

阿久津曲がりねぎのねぎ味噌

阿久津曲がりねぎの豚肉巻き

ほうれん草のあえもの

阿久津曲がりねぎのねぎ油

ねぎ油をかけた豆腐

どれもおいしくて、味見をたくさんしてお腹がいっぱいなはずなのに、どんどん食べることができました。婦人会の方々は皆さんとても優しく、話しているとこちらが温かい気持ちになりました。実際に阿久津曲がりねぎを育てている方々を知ると、なおさらこの曲がりねぎが特別なものに感じられます。

そして、スタディツアーの最後に、阿久津曲がりねぎを販売しているヨークベニマル横塚店で実演販売にチャレンジしました。

 
お客様に試食をすすめながら、阿久津曲がりねぎの特徴を説明しました。お店の方からは、阿久津曲がりねぎは地元野菜として認知度が高くファンが多いこと、お店としても地元の生産者を大切にしているのだということを伺いました。
 
「福島で実際に農業体験をして生産者と交流することによって、実感を持って福島の農業について学んでもらう」という目的で実施したスタディツアーでしたが、学生達からは、多くのことを学ぶことができ、貴重な体験だったと感想がありました。阿久津曲がりねぎのおいしさはもちろん、育てる苦労や工夫、伝統を守り続け、未来につなげる活動もしている生産者の思いをしっかりと感じていただけたようです。
 
 
産地での体験を終えて
 
学生達が産地で感じたこと、そして、都内で阿久津曲がりねぎを紹介するために、どんなことが必要か、学生達によるレポートをご覧ください。 

YEBISUマルシェレポート

スタディツアーで体験し、学んだことを首都圏の方々に知っていただくために、
2月19日(日)恵比寿ガーデンプレイス(東京都目黒区)で開催されたYEBISUマルシェに「阿久津曲がりねぎ」販売のために出店し、学生達が生産者の橋本さんとともに、自ら販売し、阿久津曲がりねぎを紹介しました。
販売を通じて、実際に消費者と触れ合った体験を学生達自身がレポートしますので、ご覧ください。

マルシェ開催の目的

スタディツアーで学んだ阿久津曲がりねぎの歴史・特徴・おいしさを首都圏の皆さんに紹介する。実際に甘さや柔らかさを感じてもらい、初めて耳にする方にも阿久津曲がりねぎの魅力を知ってもらうことで、福島県産農林水産物の応援につなげていきたい。

マルシェを実施して良かったと感じたこと

私達学生や生産者の橋本さんやスタッフ全員が、お客様に対して、阿久津曲がりねぎの説明や試食の提供、そして調理や呼び込みをしている!と感じる瞬間がありました。チーム全体での一体感を感じました。なにより曲がりねぎ100束を売り切ったことと、試食した皆さんが「おいしい」と言ってくれたことがうれしかった。生産者の橋本さんたちも消費者と交流して、喜んでいたことが印象的でした。
 

マルシェを開催して改善できると感じたところ

売ることが中心となってしまい、阿久津曲がりねぎのことを伝えられないこともありました。
「阿久津曲がりねぎマスター!」のようなバッジをつけて売り込みながらスタディツアーで学んだことをまとめたパネルを紹介することで、もっと阿久津曲がりねぎのことを知ってほしかったです。
(※画像をクリックすると大きく表示されます)
 

販売に際して、実践したこと

● 阿久津曲がりねぎの特徴・性質について
阿久津曲がりねぎの最大の特徴である見た目の湾曲、そして触ってわかる柔らかさ。それらを生かすために展示は曲がりを強調して見せ、お客様にねぎを触っていただきました。「やとい」についても興味を持ってくれた方に説明することができました。
 
● 生産者の魅力について
産地の魅力は生産者の魅力でもあると思ったので、お客様には産地での農家の方々と、どんな交流をしたかも伝えました。また、このふるまった豚汁はマルシェにも参加してくれた橋本さんの味噌とレシピを使ったものだったので、産地直伝の味ということもアピールしました。

 
● おいしさと形の魅力について
焼いた曲がりねぎを実際に試食してもらうことで、柔らかさと甘味を感じてもらいました。そして、火を通していない状態でも棒ねぎに比べて柔らかい、ということはそれぞれを触ってもらうことで、お客様に理解していただきました。

 
● 陳列について
九条ねぎ、深谷ねぎと並べて置くことで曲がりねぎの見た目と柔らかさを簡単に伝えることができました。黒板を台にしてそれぞれの説明を書いたことで、オシャレにしつつ紹介することができました。また、販売棚は橋本さんから「山盛りに置いた方がいい」と教えていただいたので、その通りにしたら、たくさん売れました。

阿久津曲がりねぎが今後首都圏で受け入れられるためにどうしたらいいか

今はまだ「曲がりねぎ」を知らない人が多いので、何度もマルシェなどで出店し、首都圏の皆さんへの知名度をあげていく。また、ふるさと納税や観光誘致でとにかく味と食感を知ってもらえれば、必ず虜になると思うので、実際に味わう機会が作れる取組をしていくのがいいのではないかと思いました。スーパーなどでの販売だけだと、新しい客層をつかむのは難しいかもしれませんが、焼きねぎ食べた人なら、誰もがその魅力を感じると思います。
そして、「曲がりねぎ」を知っていたお客様の情報源はテレビなどのメディアでした。メディアでの発信の重要性を改めて感じました。また、より分かりやすく味わってもらうためにレストランとタイアップして「この料理には阿久津曲がりねぎが一番合う!」といった紹介方法もあるなと感じました。
 
 
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学生達からのレポート、いかがでしたか?
産地での体験やマルシェでの販売・接客を通して、「阿久津曲がりねぎ」の魅力をお伝えしました。大人で、日々県産農林水産物をPRしている私達が気が付かなかったことや的確な指摘がありました。
 
福島県では、今回スタディツアーとマルシェに参加していただいた学生達の意見も参考にしながら、これからも全国の皆さんに福島県産農林水産物のおいしさや魅力、生産者の姿を知っていただくため、情報を発信していきたいと考えております。